親友と親父

6月 20th, 2011
|

堪えたけど駄目だったな。
涙が出ちゃったよ、まったく。
まだ早いっつーの。

「おー、悪かったなぁ…。」
「こんな体になっちゃってよ…。」

親父の大学時代の親友2人が見舞いに来たとき、親父がそう言った。
どうやら親父は2人に「4月には元気になるから、そしたら会おう」と手紙を出していたらしい。
でも、そのようには成らなかったから、親父はずっと連絡を取ろうとしなかった。

「ほらほら、またさぁ元気になって呑みに行こうよ!」

2人は親父の痩せた手を片方ずつ握ってそう返事をしてた。

「長居をすると疲れちゃうから、俺らはもう行くよ。また来るよ。」
ほんの10分程度の会話で2人は帰って行った。

親友2人には母ちゃんがこっそりと連絡を取り、
偶然を装って来ていただくように手配していた。

でもね、親父はすぐ感づいたと思う、母ちゃんが呼んでくれたんだってね。

2人が帰った後、親父はか細い声で母ちゃんに言ってたよ。
「もう会えないと思っていたから…、嬉しかったよ。」ってさ。

ちくしょ…。
今日はそんな父の日だった。

メディア:
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>